ビスポークウォッシュは私、株式会社Mr.Wanderlust代表取締役 佐々木史彦の個人的な想いから生まれました(詳しくはStoryを一読いただけますと幸いです)。そこでパートナーとして一緒に開発をしてくれたのが日本最大手の化粧品OEMの日本コルマーさん。みなさまが使っているスキンケア商品のあれもこれも日本コルマーさんが作っているかもしれません。実はビスポークウォッシュを提案した当時はまだサラリーマンだったので、何の保証もなく開発に参加してくれた日本コルマーさんには本当に感謝しています・・そんな開発を主に担当していただいた研究開発本部の堀世樹マネージャーにビスポークウォッシュについてインタビューをしてきました。堀さんとはリモート会議では会話したことがありますが実際にお会いするのは初めて。日本コルマーさんは全国各地に研究所と工場がありますが、今回は大阪府の柏原にある研究所に伺ってきました。インタビューから研究開発に多大な時間をかけてもらったことが窺い知れます。それもすべては男性に清潔感と自信を持ってもらうため・・・お許しくださいませ。
それではインタビューを始めさせていただきます。今日はよろしくお願いいたします。
堀さん:
お願いします。
研究者として堀さんのこれまでの履歴を教えていただけますでしょうか。
日本コルマーで約15年間勤務しておりまして、最初は口紅の開発を1年半ほどやって、その後はスキンケア製剤の開発を続けています。洗浄系だけにこだわらず女性向けのスキンケア、美容液、化粧水、乳液、クリームやあとは洗顔、ボディケア製品など多種なアイテムの担当をしてきました。あとは医薬部外品シリーズ物の製剤というところも担当してきましたね。
スキンケアの開発が長いのですね!化粧品を開発するときに堀さんがいつも念頭に置かれていることや作られていく中でポリシーみたいなことってありますか。
私たちはOEMというところもあるので私自身のポリシーだけを通すということよりは、やはりお客様=得意先の希望に寄り添っていくことだと思っています。すごく使用感にこだわっているという話を伺った場合は、本当に抜群の使用感の良いものを作ろうとか。得意先がどう考えるかというところを念頭に置いて開発をいつも進めていますね。
やっぱりお客様の何をしたいか、どうしたいかというところの深堀りが大事ということなんですね。
そうですね。やはり消費者というところも含めてなんですけども、開発を担当されている企業の方の考えを共有いただいて、それにあった商品やアイテムを作ることで、できるだけ販売される方の気持ちに立つというところが自分の中で大きいのかなと思っております。
なるほど。そして今回、男性専用のパーソナライズドされたオーダーメイドスタイルの洗顔料を一緒に開発させていただきましたが最初に話を聞いたときはどう思われましたか。
初めての依頼だったので、驚きと共にやっぱり面白いなって。メンズ化粧品が伸びている中、今までパーソナライズドされた化粧品の依頼がなかったというところもあって、そういうところから攻めていくのはすごく面白いなと感じました。
確かに男性用というのは聞いたことないですよね。開発されたビスポークウォッシュの売り、ここがポイントだぞというところがあれば教えてください。
タイプの異なる洗顔アイテムであるということが一番のポイントです。ジェルタイプ、フォームタイプ、パウダータイプ。これらをひとつのシリーズとして消費者の肌質や悩みによって製品を分けていくということは初めての開発でした。
洗顔料のタイプによって開発や製品化するのが難しかったりするのでしょうか。
やっぱり肌質と悩みによって全く違う処方になりますので使用感や使っている最中の例えば感じ方ですとか、洗い流した後の感じ方ですとか、そのあたりも全く違うものになります。あとは様々な悩みをどういう形で差別化するかも色々と考えました。肌質や悩みなど求めるところと離れてしまうのは避けたかったこともあり、それぞれ別の処方を組むというのはかなり難しい開発でした。
肌質や悩みによって配合成分がそれぞれ異なるじゃないですか。そこも大変かなと思いました。
それぞれの洗顔料のタイプにあったもの。そのタイプに合った保湿性ですとか、例えば毛穴対策のためにさっぱり感を増すことに着目した配合成分というところは考えて作っています。
肌質によっては例えば石鹸成分だったり、悩みによってはクレイ成分を配合したり、それぞれいろいろとタイプが違うと思うんですけども、やっぱそこの辺も開発っていうのは大変でしたか。
はい・・まず配合してみて、実際に使ってみて、それで本当に求めるような使用感になっているかというところはトライアンドエラーを重ねて作り上げました。ほかの成分、クレイでも種類を変えてみたりですとか、そのあたりはかなりの試作数を重ねたような感じになっております。
確かにいろいろな肌質とか悩みによって、全然違う成分があって、かつパウダーやジェルもあるので研究はかなり大変だったかなとは思います。
ビスポークウォッシュの研究開発期間はかなり長かったですね。様々な研究員がいて、私はマネージャーとして携わりましたが、これ以上無理というところからさらに絞り出すような・・そんな感じでした。なのでそれぞれの原料一つ一つを試してみてというところは、すごく苦労と言ってしまったらあれですけども、苦労と合わせてやっぱり面白い開発にはなったかなとは思います。
長丁場の研究開発、ありがとうございました!僕も男性なのでよくわかりますが肌質とか肌のお悩みっていろいろとありますよね・・・
そうなんです。実際に年齢によっても変わりますし、例えばご本人が考えている肌質と、本当にそれが正しいのかっていうところもあると思うので、実際に選択した上でそれがもしかすると違うものであれば、ほかも選択し直せるので、そのあたりがすごく理にかなっているなと感じましたね。
男性の肌って女性よりも皮脂量が多くて水分量が少なかったりとかなり敏感なものです。今回、ビスポークウォッシュで開発していく際には何を入れるかと同時に何を入れないかにもこだわっていただきました。
やはり、フリー成分なしですと処方を組みやすいというところになるんですけども、いかにいらないものを抜いていってちゃんとしたものを作るかというところはすごく重要だと考えていました。その中でもやはり男性の肌っていうのはやっぱり女性よりも実は繊細だったりというところもありますので、できるだけいらないものは抜きたいなというところは開発初期からあったので、そこは引き算で考えながらこだわって開発しています。
堀さんから見て男性用のスキンケアと女性用のスキンケアって開発するときは考えることが全然違うものですか。
違いますね。元々ある原料とかは同じなんですけども、やっぱりその肌質ですとか、こだわるポイントは違うかなと思いますので、そこに焦点を合わせて考えて作るというところ。市場自体は女性の化粧品のほうが大きくて知見がありますが、男性であればどういうところを気にされて買うのか、使うのかっていうところはやっぱりイチから考えて開発していかないといけないところで難しさは感じます。
なるほど。10年以上研究開発をされている中でも、その部分はまだ難しいと感じられますか。
僕自身も男性なのでやっぱりどういうものがいいかとか考えるんですけども、なかなか男性が選ぶ基準がまだまだ難しいというか、情報がないというところもあると思います。逆に男性がこれからどう選んでいくのか発信していくというところもこのビスポークウォッシュは面白いのかなとは思っています。
確かに女性と比較すると男性用のスキンケア市場はまだまだ小さい一方で、最近はコロナ禍の中でもかなり拡大しています。それはOEMである日本コルマーさんにとってもそれは感じたりします?
そうですね、実際にすごく感じています。弊社のお得意先からのニーズもすごく広がっておりますので、これからどんどん攻めていけるようなポイントなのかなとは思っております。
ビスポークウォッシュは20代後半から仕事はバリバリやっているけど肌とか見た目は曲がり角を迎えた男性の方々に使ってほしいという想いがあります。この層のスキンケア市場というかスキンケア習慣が広がっていってほしいなと。
実際、僕自身も39歳で、肌の変化はすごく感じています。年齢によるものやマスクの使用といった生活環境の変化によるもの、また、年齢的にも仕事や私生活での変化が多い世代ですので、肌への影響も大きいと感じています。
男性は年を取るとターンオーバーの周期が遅れるとか、バリア機能がどんどん乱れてくみたいなことも言われますよね。
前提として元々ケアをしていない方っていうのがすごく多いですよね。その方々がだんだん若いときはターンオーバーが適切に機能していて特に肌の影響がなかったとしても、本当に20代後半から40代ぐらいにかけてだんだん肌の荒れとかが今まで積み重ねたダメージというところが顕著に出てきてしまった場合に、蓄積された肌のダメージをどうケアしていくか。実際にビスポークウォッシュのターゲットとなる年齢層の男性で、そこを感じている方は増えていると思いますので、そこに向けたケアはとても興味深いと思いました。
ちょっといじわるな質問になりますが現状のビスポークウォッシュに課題ってありますか。今後改良すべきところがもしあれば。
かなりこだわって良い物ができたなとは思っていますので、なかなか課題見つけるのって難しいのですが、今回必要ないものを省くというところで匂いをつけてはいなかったんですけども、女性向けには匂いのついている化粧品が流行しているというのもあって、匂いにこだわった開発が数多く行われてますので、その辺については今後取り入れても面白いのかなとは思っております。
確かに匂いとかそういうところも、お客様の好みによって選べたりすると、選べる楽しさ、スキンケアに対する意識が変わるかもしれないですね。
そこはすごく大きいのかなと思っております。
そもそもスキンケア特有の甘い匂いが苦手な方やボディソープやシャンプーなどの香りが混じるのが苦手な方が多く、今回は無香料にこだわってきましたが、これからの課題として持っておきます。ありがとうございます。最後にビスポークウォッシュの購入を考えているお客様にコメントいただけると嬉しいと思います。
開発にすごく力を入れてこだわった製品になりますので、ぜひまず一回使っていただいて、スキンケアの面白さに気づいていただけるとすごく嬉しいなと思います。
ありがとうございました!
あらゆる質問にしっかり考えながら穏やかに答えてくれた堀さん。短い時間でしたが話していると、洗顔料を開発していただいた時の誠意あるやりとりの記憶が蘇ってきました。実際に会ってみると、適当なものではなく本当に納得のいく、お客様が満足してくれるものをつくろうとする職人のような心意気と、理路整然にベストな方法を探求しようとする研究者のような雰囲気、両方を持ち合わせている方でした。私も広告代理店にいたのでわかりますが得意先とのやりとりは無茶や無謀な要求との戦いです。その中でいかに良いものを出していくかを苦しみながら頭を絞る日々でした。そんな得意先=私の難しくて複雑な要求にも誠実にこたえていただき、結果、最高の洗顔料ができたと自負しています。大阪にある堀さんが働く研究所には若い研究員がたくさんいました。この人たちが毎日クライアントと戦いながら私たちの生活を豊かにしてくれるんだなとしみじみ思いました。
