女性皮膚科専門医に男性のスキンケアについて聞いてきました。

「肌は見える内臓」と言われています。男性の肌は特に繊細だから何か肌トラブルが起きたときは皮膚科専門医に相談するのが一番。と言うことで二子玉川ファミリー皮ふ科の玉城先生に話を伺ってきました。女性ならではの視点で男性の肌について語っていただいています。スキンケアをすることは今日明日の話ではなく、未来にわたる行為であるという指摘は、特に肌の曲がり角を迎える20代後半から40代に向けた男性は傾聴に値します。丁寧なスキンケアを日々しながら、深刻な悩みが生じたときは皮膚科の先生に相談しにいく。そんなスキンケアのルーティンを確保することで、清潔感と自信を手にした毎日を過ごすことができるはずです。

玉城先生、本日はよろしくお願いします。まずは玉城先生のバックグラウンドから伺わせてください。何故、皮膚科の先生を選ばれたのですか?

玉城先生:
元々は父が愛知で開業医をしていました。医学部を卒業後、研修医になったときに全ての科を回ったんですね。内科や産婦人科、救命救急などいろいろと経験した後に、皮膚科の研修にも行きました。そのときに患者さんの悩みが治療後に目に見えて良くなることにすごい感動を覚えたんです。処置したことや処方した薬で劇的に治っていく。どんどん治っていくことに大きなやりがいを覚えて、皮膚科って素晴らしいなと思って決めました。


こちらの病院は皮膚科と美容皮膚科両方あるそうですね。

両方ありますが美容皮膚は1割に満たないぐらいで保険診療がメインです。病気を診るという根本のところはブレずに皮膚科の専門医としてエビデンスに基づいた医療を提供していきたいです。



最近は男性の方も受診も増えているのですか?

はい、増えています。特に20 代の若い男性が多いですね。



男性の肌の特徴ってどういうところがありますか?

肌に含まれる水分量が女性の1/3ぐらいと言われています。肌の水分量が少ないと乾燥を引き起こすので肌の表面がカサカサしやすいです。その一方で、脂の分泌量も女性と比較して約2倍多いんです。大体思春期あたりからどんどん皮脂が分泌されて、大人になると女性の倍は皮脂が分泌されてしまうので、しょっちゅうベタベタするとおっしゃったりしますね。インナードライという肌の表面は脂っぽいのに肌の内部では水分が不足して乾燥している状態の方が多かったりと不安定な肌環境であることが特徴だと思います。


大人の方と若い方だと診察や処方は異なってくるものなのですか?

そうですね、大人は乾燥してカサカサしている方が多いです。乾燥して痒いので、洋服を脱いでいただくと、バーっと皮膚の屑が落ちる方もいます。お手入れされていますか?と聞くとされていない方が多いので、まずは保湿をしていただくようお伝えします。さらに症状が悪化してしまう患者さんにはステロイドなどの薬を処方するようにしています。



20代から40代の男性550名にアンケートしても悩みの圧倒的1位は乾燥でした。女性と比較するとお手入れというかケアしていない男性は多いですね。

はい、無防備の方が多い印象です。外に出たり車に乗ってらっしゃる方が多い割に紫外線対策をまったくしていなくて乾燥したりシミになってしまう。まだまだ紫外線というより自分のお肌を気にしてない方が多い。女性とは意識の差が結構あると感じます。



紫外線対策は何が有効なのでしょうか?

まず基本としてUVケアとして日焼け止めを塗る。まだ日焼け止めもそんなに塗っていない方が圧倒的に多いですよね。あとは化粧水つけたりとか乳液つけるのも、たまにつけたりつけなかったりという方もいらっしゃったりとか。ベースとして毎日をつけていただきたいのですが、どうしても忘れてしまう方が多いようです。



確かに面倒くさくなってやらない男性や忙しさにかまけて忘れてしまう男性は多そうですね。自分自身を鑑みても思い当たる節がありますね・・そんな中、男性が日々のスキンケアをする上でポイントは何かありますか?

刺激の強すぎるものでこすりすぎないことが大事ですね。男性って刺激が強いものがお好きな方が多い。スッとするメンソール系の洗顔料とか、つぶつぶの入ったスクラブ系の洗顔料とか。さらに洗顔後にタオルでゴシゴシ拭かれる方も多いのですが、それは肌を傷つけてしまいます。せっかくのスキンケアが自分の肌を傷つけてしまうことになりかねない。ご自身の肌が強いと思ってしまい強くこすってらっしゃる男性が多いのですが、優しく肌を扱うことが大切なので、そのあたりに気をつけていただけたらなと思います。



いま、強くこするのは良くないとおっしゃっていましたが、肌の新陳代謝であるターンオーバーも強くこすると乱れてしまいそうです。

そうですね。肌のターンオーバーってよく28日周期と言いますけど、大体年齢+8ぐらいと考えて欲しいです。例えば40歳だと48日ぐらいは新しい肌に生まれ変わらない。そのくらいの時間をかけて皮膚の細胞が肌の内部でどんどん下から上へ押し上げられていき古い皮膚は垢として剥がれ落ちながら新しい皮膚に生まれ変わっていきます。つまり年齢を経れば経るほど新陳代謝が遅いので、一回ついてしまったシミがなかなか取れてこないのです。ターンオーバーは年齢とともに周期が遅れていくことも、認識していただけたらなと思います。



なるほど。ターンオーバーにも密接に関係してくるバリア機能はどうでしょうか。

バリア機能は外部からの様々な刺激から肌を守るものです。肌を乾燥させたままにするとか日光に長時間当たり続けたりすると、バリア機能が壊れてしまう要因になるので気をつけて欲しいですね。夏に日焼け止めを塗り忘れてしまいビーチなど日光を遮るものがない場所に長い時間いると、ものすごい紫外線を浴びてしまい日焼けや肌荒れをしてしまうことも。塗り薬の軟膏や飲み薬を処方しないと治らない方がたまにいらっしゃいます。やっぱり肌には保湿も大事だしUVケアを意識的にすることでバリア機能もちゃんと機能していきます。



僕も以前、日焼け止めを塗り忘れて海に行き真っ赤に日焼けして翌年まで治らなかった記憶があります・・これは極端な例かもしれませんが、日々どれだけ丁寧にスキンケアしていくかが大事ですね。

男性の方でゴルフが好きな方とか、テニスが好きな方とか、女性は頑張ってケアしますけど、まったくケアせずにサンバイザーの跡がくっきりついてしまう方もいます。お金と時間に余裕ができる年配になってから、このシミをどうにかしたいっておっしゃったりするのですけど、もうちょっと普段からケアしていただければ、そんなふうにはならないのになと思うことはあります。

スキンケア製品を使う上でアドバイスはありますか?

まず基本として洗顔料を泡立ててから使っていただくと摩擦が少なくて良いですね。あと、ここは特に乾燥してるなって思うところだけはちょっと乳液のタイプを変えてみるとか。診察でもどうしたら良いですか?という患者さんがいらっしゃいます。その方それぞれの肌質や状態があるので何とも言えない部分もありますが、悩みによって当然処方は変えていくべきだと思います。あと季節によってもそれぞれの状況は変わってきますよね。夏は暑くて汗をかきますし、冬は乾燥してカサカサしますし。だから夏と冬でスキンケア製品を変えている方もいらっしゃいます。



男性は普段忙しくて、というより意識がそこまでいかない方も多いと思います。そんな男性に対してスキンケア製品を選ぶときのポイントはありますか?

忙しいのであれば化粧水や乳液などがセットになっているものを選ぶということも良いと思います。ひとつひとつ使用していく手間がかけられない方はオールインワンの商品を選んで洗顔した後に使用したら良いと思います。また、先ほどの話に関係しますが、日焼け止めも洗顔料で落ちるものがいいですよね。結局、日焼け止めをつけていても洗顔料では落ちずにメイク落としなどのクレンジングを使わないといけないとなるとダブル洗顔が必要になってしまいます。男性はメイク落としを使わないでしょうし、奥さんや彼女から借りるにしても面倒だと思います。日焼け止めが肌に残ったままになってしまうのは良くないので。



少しずつでもスキンケアをしていくのは自分に対する未来への投資とも言えそうです。

その通りです。結局スキンケアを怠ると5年後、10年後の皮膚が全然違うんですよね。明日明後日の話ではなくて。だから将来にいかに若々しくいられるかということを考えるとスキンケアは必ずして欲しいです。また、シミやシワの原因は加齢よりも光老化という紫外線によるものが大きく作用するので紫外線対策は男性の方もしっかりやって欲しいですね。



スキンケア以外に日常生活の中で気をつけることは何かありますか?

タバコは良くないですね。有害な煙を吸うことで体の内部から様々な肌トラブルを引き起こしますし、顔の周りに常に煙がまとわりついてしまうのであらゆる意味で肌に良くないです。また慢性的な睡眠不足も肌荒れや乾燥の原因になることもあります。規則正しい生活は大切ですね。そういえば、一昨年ぐらいから男性の方で日傘を使用されている方を時々見ますがとても良いと思います。日傘によって紫外線の吸収を避ける効果があるので、これからはサラリーマンでも日傘を使用するのが普通になっていくといいなと。



最後に読んでいる方にメッセージをください。

何事も毎日の継続が大事だと思います。ビジネスでもプライベートでも、いかに若々しく格好よく見られるか、ご自身の身だしなみを整えるもののひとつとしてお肌を考えていただきたいなと。格好よくスーツを着ているのと同じで肌が整っている方が、第一印象が全然違いますよね。他の方に清潔感を与えるという意味でも、自分に自信がつくという意味でも肌は綺麗に整えられた方がいいと思います。



玉城先生、本日はありがとうございました!

とても清潔な医院内で玉城先生のお話を伺ってきました。医療的な話から印象の話まで様々で女性の先生ならではの事柄ばかり。今年の夏は特に暑かった・・そんなうだるような暑い夏に日傘というアイテムは男性の私からするととても新鮮でした。もう数年したら男性の日傘も当たり前になってくるかも。その前に日焼け止めが当たり前にならないかな、いやいや、その前の前にメンズスキンケアの定着を一歩でも前に進めなければ!そんな熱いことを思いながら帰路につきました。

※玉城先生はビスポークウォッシュの監修などはしておらず、本商品を推奨するものではございません。